退職代行を使っても、積み立てた社内預金が没収されるわけではありません。会社が管理している本人の預金は、退職時に残高と返還方法を確認し、必要なら返還を請求します。
労働基準法23条では、退職した労働者から請求があった場合、会社は原則として7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還すると定めています。退職代行へ依頼する際も、「社内預金の全額返還を請求する」と明確に伝えてもらうことが重要です。
退職代行を使うと社内預金はどうなる?
退職代行の利用を理由に社内預金が減額・没収されるものではありません。まず、自分の制度が本当に会社管理の「社内預金」なのかを確認してください。
| 制度 | お金の管理先 | 退職時の確認先 |
|---|---|---|
| 社内預金 | 会社が労働者から預かって管理 | 会社の人事・給与・経理担当 |
| 財形貯蓄 | 銀行・保険会社など | 会社と取扱金融機関 |
| 互助会・親睦会積立 | 会社または別組織 | 会則と積立金の管理者 |
| 企業年金・確定拠出年金 | 年金制度の運営管理機関 | 会社と運営管理機関 |
| 持株会 | 持株会・証券会社 | 持株会事務局 |
制度を取り違えると手続きや振込時期が変わります。給与明細の控除名、社内規程、残高通知を確認してください。
会社が社内預金を強制することは認められない
労働基準法18条は、会社が労働契約に伴って労働者に貯蓄を強制したり、貯蓄金を管理する契約を結ばせたりすることを禁止しています。
一方、労働者が自分の意思で会社へ貯蓄金の管理を委託する制度は認められています。その場合、会社には労使協定、管理規程、利子、返還などに関するルールがあります。
給与から同意なく社内預金が引かれている場合や、退職を理由に返還を拒まれた場合は、通常の社内手続きだけで終わらせず、労働基準監督署などへ相談してください。
退職時に請求すれば原則7日以内の返還
退職しただけで自動的に7日以内の返還期限が始まるとは限りません。労働基準法23条の7日という期間は、原則として権利者から請求した時が起点です。
そのため、退職代行から会社へ次の内容を伝えてもらいます。
- 社内預金の残高を開示してほしい
- 元本と利息を含む返還額を示してほしい
- 社内預金の全額返還を請求する
- 振込予定日と振込先確認方法を回答してほしい
- 返還額に争いがある場合は、争いのない部分を先に返還してほしい
退職日より前に依頼する場合は、「退職日に返還請求する」と伝えるのか、会社規程の解約手続きを先に行うのかを確認してください。
退職代行へ伝える文章
会社で積み立てている社内預金について、退職時点の残高、利息、返還額を確認し、全額の返還を請求したいです。返還方法と振込予定日も会社へ確認してください。
次の資料があれば、代行業者へ画像や金額を共有します。
- 直近の残高通知
- 給与明細の社内預金控除欄
- 社内預金規程
- 預金証書や通帳
- 過去の入出金記録
残高が分からなくても請求できます。「残高の開示と全額返還を希望」と伝えてください。
返還方法は振込か会社指定手続き
会社によっては、退職届とは別に社内預金の解約申請書を求めることがあります。本人確認、振込先口座、印鑑、預金証書などが必要になる場合もあります。
会社へ行きたくない場合は、書類を郵送で受け取り・返送できるか確認します。返還金を最終給与と一緒に振り込むのか、別口座・別日になるのかも聞いてください。
会社独自の手続きがあっても、必要書類の案内がないまま返還を先延ばしにされる場合は、請求日と会社の回答を記録に残します。
互助会積立金とは返還ルールが異なる
給与明細に「積立金」「互助会費」「親睦会費」とだけ記載されている場合、それが社内預金とは限りません。会費として消費され、残額を個人へ返さない制度もあれば、退会時に持分を返す制度もあります。
社内預金ではなく互助会だった場合は、退職時の互助会積立金の返還も確認してください。
7日を過ぎても返還されない場合
返還請求から7日を過ぎても振り込まれない場合は、次の順番で対応します。
- 請求日、請求内容、会社の回答を確認する
- 会社へ書面やメールで支払予定日を再確認する
- 退職代行が交渉できる運営主体か確認する
- 労働基準監督署や総合労働相談コーナーへ相談する
- 金額や権利関係に争いがあれば弁護士へ相談する
会社が返還額そのものを争っている場合でも、争いのない部分まで留保できるとは限りません。どの金額・理由で争っているのかを文書で示してもらいましょう。
退職代行の運営主体による対応範囲
| 運営主体 | 社内預金についてできることの目安 |
|---|---|
| 民間業者 | 返還希望や確認事項の伝達。金額交渉はできない |
| 労働組合 | 労働問題として会社と交渉できる場合がある |
| 弁護士 | 返還請求、法的争い、回収手続きまで相談できる |
社内預金の存在を伝えるだけなら民間サービスでも進められる場合があります。ただし、会社が返還を拒否している、残高に争いがある、他の未払い賃金もある場合は、最初から労働組合または弁護士を選ぶ方が安全です。
ネルサポへ相談する場合
ネルサポへ相談する際は、残高、会社へ伝えてほしい返還請求、必要書類の郵送希望をまとめて送ります。交渉が必要になった場合に対応できる範囲も、支払い前に確認してください。
まとめ
退職代行を使っても、本人が積み立てた社内預金が没収されるわけではありません。退職時の残高、利息、返還額を確認し、会社へ全額返還を請求してください。
退職後に請求した場合、会社は原則7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還する必要があります。互助会・財形貯蓄など別制度と取り違えず、返還が遅れる場合は請求記録を残して公的窓口へ相談しましょう。
社内預金の伝達だけで済むか、会社との交渉が必要かを踏まえて相談先を選んでください。


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